導入事例
衛星画像などの複雑なアノテーションデータをAI開発に活用
株式会社スカイマティクス
画像解析エンジニア
榎本 真貴さま / 松野 寛樹さま
- 業種・利用シーン
- 衛星画像・ドローン画像
御社の事業について教えてください。
スカイマティクスは、リモートセンシングとGISに強みのある会社です。リモートセンシングとは物に触らずに触れる技術ですが、例えば空から離れて地上を見て、画像的に情報を得た上で様々な解析を行うといった事業を行なっています。
また、地理情報システムと言い、地図上の様々な情報に深みをもたせることで、自然に価値を持たせるという仕事も行なっています。通常は、どちらかに強みがあるといった会社が一般的ですが、スカイマティクスは、どちらも強みがあるという面で差別化ができていると感じています。
弊社のサービスをご利用いただく前はどのようなデータ作成を行なわれていたのでしょうか?
やはり類似したアノテーション(※1)会社のサービスを何社か利用させていただいておりました。日本人がアノテーション作業を行うサービスの場合は1つ1つのコストが嵩むため、海外のベンダーにお願いすることが多かったですね。もちろん少量のときは、内製で行なってしまうこともありました。量、見合いで外注するかどうかを考えながら判断していました。
どれくらいの量で内製か外注かを判断するのでしょうか?
自分で行うのが嫌だ、と感じる量などですね。物にもよりますが、1つ1つの作業が重いものなど。簡単なもの、作業が重いものなど違いがありますが、今回御社にお願いしたものは比較的作業が重いタイプのものだったので、1枚の衛星画像データをアノテーションすることも大変でした。そういうときはたった5枚の衛星画像でも外注する判断を行っています。一方、単に対象物をマークするだけの簡単な案件であれば、100個くらいであれば社内で実施する、ということも多々あります。
他にも納期にもよります。納期を見てお願いをする場合、どんなに急いでもやり取りに時間がかかってしまうこともあるため、少量の作業の場合は自社で行うこともあります。一番の判断軸は、「自社で行うのが辛いかどうか」です。
外注すると、手順書作成、打ち合わせの実施、納品物の確認などが発生するため、どちらが大変かを比較して外注するかを決めています。
海外のアノテーションベンダーを利用されたことがあるということですが、利用する上でのハードルになる点はありますか?
特にありません。弊社の場合は例えば野菜や地面などの画像が多く、個人情報と紐づくような個人の顔などは使わないので、利用しやすいです。ただしNDAを結び、ある工場の中の写真を対象に行ってもらうといったケースでは、パッと海外には出しづらい、または出せない、ということが実際にありました。そのような場合は自分たちで行う、という判断をしたこともあります。
そういう点では、矢崎さんのサービスはセキュリティやコンプライアンスの管理体制に安心感がありありがたいな、と思いました。
他社のアノテーションベンダーへ依頼する際の課題や、ボトルネックなどはあったのでしょうか?
そうですね。外注するケースでは、結果的に納品されたものを使うのは自分たちですので、納品物のクオリティは結構大事です。場合によっては時間をかけて確認しないといけないこともあります。「ここ直してください」とリバイスをお願いするといったことは結構あります。
修正が多かったと感じる対象物は例えばどんなものがありますか?
衛星画像や航空写真などです。簡単なものは非常に簡単です。例えば、キャベツをひたすら○(まる)にしてください、といったケースでは依頼側の指示も楽ですし、受ける側もわかりやすいと思います。
今回矢崎さんに行っていただいたものは「河川のどこまでが境界線か」というものが含まれており複雑なものでした。事前に手順書を作れば良いのですが「やってみなきゃわからない」といった箇所も多くありました。そういう意味ではやりづらかったんじゃないかなと思っております。
またお願いした中で一番難しいだろうと予測していたのは、木のアノテーションです。上から見た時は草も木も色が変わらないため、その違いがどこにあるかというと木の高さからできる影なんですよね。ですから、「その影を見つけてアノテーションをしてください」というオーダーをしましたが、内容は結構大変だと思います。
事前の要件定義は非常に重要だったりするものでしょうか?
そうですね。全体のアノテーションを実施する前に「ここはどうですか?」と矢崎様に要件を聞いていただきましたが、それは、後々の工数部分でいい影響があったと思います。
他社さんで「早いのが売り」「安いのが売り」といった特徴のサービスもありますが、確認するとガツガツ進めてしまうんです。例えば10面依頼した場合、納品の連絡と同時に確認すると「全部やり直し」「こことここ直して」と修正点が多く、「自分でやった方が早くないか」という結論になることもたまにあります。
アノテーション会社は「安かろう・早かろう」というサービスと、少々コストはかかりますが後手間考えると良いというサービスとどちらもありますが、どちらが得かは悩むところです。丁寧に進めなければいけないときは、矢崎さんにお願いしようなど、我々も考えながらやっています。
弊社サービスを利用しようと思った決め手を教えてください。
はい。最初は御社からの売り込みで「品質に自信があります」という話でしたのでお願いしてみようと思いました。ちょうど大型の案件が来たタイミングでもあり、我々も、既存のアノテーション会社だけで大丈夫か?という不安点もあったため、各社へお願いしたいという試みもありました。
弊社のサービスを利用していただいて良かった点を教えてください。
こちらの手数をあまりかけずに、いいアノテーションデータを作成いただいたところが一番大きいところですね。最初にいろいろ要件定義で時間をかけていただいたからかと思います。そこをしっかり行えれば、残りは同じようにやってください、とお伝えできるので手間がかかりませんでした。納品データも各社他社出した中で、トップレベルの品質でした。
精度のためにやはりある程度エンジニアさんがやった方が良いという点では、バランスが大事なのでしょうか?
そうですね。「自分が欲しいアノテーションはこうだ」と人に説明するのに、手順書を作り他人に説明するという工数を考えると、100枚くらいであれば自分でやった方が早いと判断することもあります。ただ一方で、ボリュームが1万枚となってしまうと大変なので、説明する工数をかけてでも外注しようとなる場合もあり、自分でやれる気になるかどうかのバランス問題でもあります。
作業手順書のドキュメンテーションスキルも大事です(※2)。よくわからない手順書を出すと、頼まれた側もわからず困って問い合わせが来る回数が増えたり、納品物がおかしい、ということもあります。ここにかける工数も悩ましいものです。
弊社担当の提案力や、ワーク前の要件定義のスキルなどはいかがでしたでしょうか?
十分に満足いくものでした。矢崎さんがアノテーションをやっています、という話があったとき、サンプル画像の種類が衛星画像とは違うので、お願いして良いか迷いました。
「こういうのでも受けてくれますか?」と聞いたら、「出来ます」と言っていただいて、今回分量が多いですしお願いしてみようかな、ということになりました。我々の開発要件に応じた提案内容も、良かったと思っております。
今後弊社に期待する点があれば教えてください。
アノテーションベンダーは「定型であれば受けます」という会社と、「要件が複雑な、変わっているパターンだけどやってみます」という会社とパターンがあります。それでいうと(矢崎は)後者で、相談に乗ってくれる会社の1社ですし、矢崎さんは対応力があると思います。
今後はより高い技術力を期待しております。難易度高いアノテーション、例えば、輪郭線の見極めが難しいものや、秘匿性の高いものをお願いする可能性がありますので、是非その際はよろしくお願いいたします。
※1 : アノテーションとは:AIに学習させたいデータに意味付け(タグ付け)を行う作業のこと。
※2 : 作業手順書の作成もサポートいたします。